グリーンコープ生活協同組合連合会
情報漏洩を対策しながら配達業務の電子化に成功――ペーパーレス化で年間1,300万円ものコスト削減効果も
- 紙ベースの業務が手間やコストの負担になっていたため、デジタル化による業務効率向上とペーパーレス化を促進する必要があった。
- 配送情報には個人情報が含まれており、各事業所でスピード感あるデバイスの盗難や紛失による情報漏洩対策をする必要があった。
- 「配送担当者が誰でも使える」をテーマに検討を重ねてアプリを開発。ペーパーレス化により、年間1,300万円ものコスト削減が実現し、配送担当者からはデジタル化により「便利になった!」という声が多く寄せられた。
- 事業所ごとの階層設定で、スピーディーかつ各現場に最適化した運用が可能となり、当初不安材料であった紛失・盗難に対しても即時対応が可能になった。
情報システム本部 本部長
亀田 親男 様
グリーンコープは、西日本を中心に展開する16の生協と約43万人の組合員からなるグループです。安心・安全な商品の開発や、心豊かな暮らしを実現するための平和・環境・福祉・子育て・その他の支援など、さまざまな事業と活動を組合員が主役となって行っています。
暮らしにまつわるさまざまな課題と向き合うグリーンコープでは、配達業務の電子化を行う上で課題となるデバイスの盗難・紛失による情報漏えいを、「Optimal Biz」の導入により解決しました。
-まずは貴会の事業内容と、亀田様の担当する業務内容についてお聞かせください。 当会は、1988年に九州・山口の生協で結成された生協連合グリーンコープを起源としています。規模や歴史が異なる地域生協が集まり、組合員自身の手で開発した安全かつ環境にも配慮した商品、カタログや店舗を介した産直による農畜産物の共同購入などで大きく成長・発展してきました。
現在は九州・中国地方、兵庫県・大阪府・滋賀県・福島県にある16の生協およびグリーンコープ連合会が加入しており、組合員総数は約43万世帯に上っています。
私が所属する情報システム本部は、こうした生協およびグリーンコープ連合会を含む、当会全体の業務システムを一括管理している部署です。顧客管理(組合員情報)はもちろん、受発注に関わるすべての業務システム(注文受注処理、各取引先への発注、配送拠点への納品、直店舗での業務管理など)も担当しております。
紙ベースの業務を配送支援アプリへ移行する上で懸念された情報漏えい
-導入前の課題や背景、MDMを選定するまでの経緯を教えてください。 もともと生協の配送担当者は、紙ベースの荷卸しチェック票で商品の荷降ろし漏れがないかを確認していました。しかし、紙の帳票は印刷や持ち運びの手間がかかることに加えて、コスト面での負担も大きくなってしまいます。そこでデジタル化による業務効率向上およびペーパーレス化の促進を目指し、2021年4月に新規プロジェクトを発足。デジタルデバイスと専用アプリを用いた業務改革に着手したのです。
-デジタル化にあたり、具体的な課題としてはどのようなものがありましたか? 生協の配送担当者に1人1台ずつスマートフォンもしくはタブレットを配布するにあたり、
事業所ごとにスピーディーな現場判断で配送時での盗難・紛失対策を行えるかが課題でした。配送情報には、当然ながらお客さまのお名前や住所といった個人情報が含まれており、アプリ内の自動ログオフやデータ暗号化機能だけでは不安です。そこで、デバイス自体をしっかりと管理できるMDMの導入が必要不可欠だと考えました。こうした課題について、配送支援アプリ開発を依頼しているSIerに相談したところ、「Optimal Biz」を紹介してくれたのです。
ペーパーレス化により年間1,300万円ものコスト削減を実現
-導入の過程についてお聞かせください。 2023年1月の先行導入で動作検証などを確認した後、同年3月に1,893台のAndroid端末および配送支援アプリ、そしてOptimal Bizを全面導入しました。デバイスのキッティング作業はSIerに依頼したので手間がかかりませんでしたし、Optimal Bizについてもかなりスムーズに導入できました。サポートもレスポンス良く対応してくれて大変助かりましたね。設定ミスなども特にありませんでした。
-導入された後の反応や手応えはいかがでしたか? 配送担当者からは、デジタル化によって「便利になった!」という声が数多く寄せられています。中にはまだ操作に慣れないという方もいらっしゃいますが、使い続けることで自然と習熟度が上がり、利便性の方が上回るでしょう。端末はスマートフォンとタブレットの2種類から、担当者ごとに使いやすい方を選んでもらっています。
また、ペーパーレス化によるメリットも大きかったですね。紙ベースの荷卸しチェック票をアプリに移行したことで、印刷や持ち運びの手間がなくなったことに加え、年間1,300万円ものコスト削減を実現できました。
-情報システム本部でのOptimal Bizの運用についてお聞かせください。 情報システム本部では、配送支援アプリのアップデートや、現場から要望があったアプリを検討・ホワイトリストに追加するプレイストア管理などをメインに行っています。配送支援アプリは、バグの即時修正や機能改善などで月1回の頻度でバージョンアップが行われており、管理者側で一斉にアップデート配信できるので工数削減に繋がっています。また、デバイス内では企業が許可したアプリ以外のダウンロードをホワイトリスト管理で防いでいます。
一方で、デバイスの盗難や紛失が発覚した際は、情報漏えいを防ぐためにも極力迅速な対応が必要です。「デポ」と呼ばれる61箇所の配送拠点ごとに責任者を任命し、ロックやワイプなどの対応を含む日常の運用に関してはそちらで行っています。Optimal Bizで事業所ごとにグループを作成し操作範囲を限定して、誤って他拠点の端末を操作する、設定を変更するなどの誤操作を防ぎながら、情報システム本部を介することなく、スピーディーかつ各現場に最適化した運用が可能になりました。
デバイスの盗難・紛失時に対応手段があるという安心感
-現状における満足度や、今後のご予定についてお聞かせください。 Optimal Bizの導入は、当会に“デバイスの盗難・紛失時に対応手段があるという安心感”を与えてくれました。それ以外にも、アプリの一斉配信ではデバイス単位でバージョンアップしているかどうかまで確認できますし、位置情報の取得はデバイスを探すための重要な情報源にもなります。もちろんデバイスの盗難・紛失をゼロに抑えるのが一番ですが、人間ですから“万が一”がないとは言い切れません。そうした不測の事態に対応できることがなにより大切だと感じており、満足度も非常に高いです。
今後については、まだ具体的な案は出ていませんが、1人1台のデバイスがあるという環境を活かして、さらなる業務改善につながる施策が講じられたらと思います。
-最後に、MDMの導入を検討されている皆さまにメッセージをお願いします。 近年、業務で支給デバイスを持ち歩くケースが大幅に増加していますが、こうした状況下においてMDMは万が一の情報漏えいを防ぐために欠かせないツールです。その中でも、Optimal Bizは特に使い勝手が良い製品だと感じています。管理者側にとっては管理業務の容易さとリスクヘッジを実現してくれますし、利用者側にとっても利便性の向上や不安材料の削減を促してくれるので、ぜひ導入をお勧めしたいですね。
グリーンコープ生活協同組合連合会
(福岡市博多区、会長 日高 容子 1988年設立)
家族の健康と未来を守っていきたいと願う母親の想いから出発し、平和な社会と安心・安全な環境づくりのために知恵を寄せ合い、商品の一つひとつを、そしてさまざまな運動を創りだしています。グリーンコープが最も大切にしていることは「組合員主権」です。この「組合員主権」を守るために、さまざまな仕組みと実践をすすめています。組合員とは「ひとりの母親」「ひとりの女性」「ひとりの人間」と考えています。その感性のままに、大切にして、さまざまな課題を自分たちに引き寄せ、知恵を出し合い、取り組んでいます。