昨今、キオスク(KIOSK)端末(情報サービスを提供するために店内などに設置されている情報端末)は、今まで人によって提供されていた業務の多くを代替しています。
このうち、タブレットやモバイル端末を利用したキオスク端末の安全かつ効率的な管理や運用には、MDM(モバイルデバイス管理)の導入が欠かせません。そこで今回は、キオスク端末とMDMの関係性や、導入する場合の選定基準について、詳しく解説していきます。
この記事の目次
キオスク端末とは?
キオスク端末とは、店舗や公共施設、鉄道などに設置されている自立式の小型情報端末を指します。サービス情報や各種の支払い、手続きなどで用いられ、スタッフに代わって多くの利用者の対応に利用されています。
日常的にもっともよく見かけるITサービス端末の一つで、例えば、飲食店での注文、小売店での会計、病院や公共施設での受付などで利用されています。近年では新型コロナ感染症対策に店舗従業員とお客様の接点を減らすため飲食店で急速に普及しました。キオスク端末は、利用者の利便性の向上とともに、人件費の削減や商品・サービスの訴求に役立っているのです。
登場初期には液晶画面脇に設置された操作ボタンを使用するタイプが多かったキオスク端末ですが、現在は本体の汎用性やシステム更新時のハードウェアの改装が不要なため、液晶画面に触れて操作するタッチパネル式が主流になっています。
また、近年では特定の用途に特化したタブレットが増えており、標準的なAndroid・iOS/iPadOS・Windows端末と専用アプリ・Webアプリとの組み合わせで運用されることが増えています。
自立式と比較するとタブレット型のキオスク端末は本体のコストも安く、また簡単な設定でさまざまな用途に特化した端末を作ることができるため、利用が広がっているのです。しかしながら、自立式に比べて持ち運びが非常に容易なことで破損や故障、悪意のある操作、ハッキングといったリスクもあり、しっかりとしたセキュリティ対策が必要となります。
キオスク端末の選定基準
キオスク端末は用途や場所、目的に合わせて、最適なものを選定する必要があります。例えばトイレや飲食店、スポーツジムのプールなどの案内や注文目的で設置する場合、万一に備えて防水機能が必要になるでしょう。また、ホテルの客室でルームサービスの注文などに使用する場合は、Webの閲覧やアプリケーションのインストールなどの制限をかけるなど、セキュリティや使用制限などに注意しなくてはなりません。そのほかにも、盗難の恐れがある環境では、専用の什器や防犯タグも併用するのが望ましいです。
端末を導入する場合、強度や機能はもちろん、さまざまな周辺機器や什器の充実なども視野に入れて選定する必要があります。ガスや水道などの点検業務や運送業の業務専用端末などの場合は、MDMによる端末管理やSIMも利用すると、端末効果をより発揮することが可能となります。
MDMとの関係性
キオスク端末をMDMと合わせて活用すると、利便性が大きく向上します。MDMとは「Mobile Device Management」、つまりモバイルデバイス管理の略です。MDMによって端末の管理を一元化して全端末のアプリケーションのアップデートの実施や、端末の詳しい情報の取得もできます。
MDMと併せた運用はセキュリティの強化にもつながります。全端末の利用状況、状態をリアルタイムに監視・把握することができるようになるためです。紛失・盗難が起こった際にはリモートでロック(リモートロック)やデータ消去(リモートワイプ)が可能です。インシデント対応が即座に取れるので、高いセキュリティ性が維持できます。また、画面遷移の抑止により、MDMが導入されているとユーザーが認識するため、不正操作の牽制効果も期待できます。
キオスク端末を管理するMDMを探している場合、Android Enterprise専用デバイスに対応しているものがおすすめです。
Android Enterprise 専用デバイスとは?
Android Enterprise 専用デバイスとは、Googleの提供するAndroid Enterpriseに含まれる端末管理方式の一つです。基本のAndroid 端末管理方式は、スタッフに業務利用用途で支給するような企業所有端末の管理を想定している一方、専用デバイス管理は、キオスク端末に必要なアプリ(またはアプリ群)や機能のみに絞って利用させることが可能です。
アプリについては、端末の種類によって配信するアプリの種類、端末に表示するアプリの数、許可する動作といった設定内容を柔軟に設定することができます。また、機能についても、端末の画面をアプリに固定する、設定画面を操作できないようにする、スクリーンロック画面を表示しない、ジェスチャー操作・端末のボタン操作を無効化するといった設定があります。
キオスク端末を運用するうえでの注意点
キオスク端末を運用する際は、OSやアプリケーション、端末標準のアップデートが必要となります。特にセキュリティに関わるものについては速やかにおこなう必要があります。ただし、アップデートによりコンテンツが動かなくなる可能性があるため、アップデート前に動作検証をおこなう必要があります。MDMからOSアップデート設定を適用することで、OSアップデートのタイミングを調整することができます。検証後、万が一適切に動作しない場合は、対策を講じたうえでアップデートをおこなうことになります。
また、キオスク端末に搭載するコンテンツを自作する場合には、ファイルの更新や長時間利用によるアプリクラッシュに注意が必要です。万一アプリケーションがクラッシュすると、意図せずホーム画面に戻され、パスコード入力画面へ遷移してしまうエラーが発生することがあるからです。セキュリティ的に非常に問題があるため、クラッシュした端末はすぐに再起動などをおこない、復旧しなければなりません。
飲食店の注文用のキオスク端末などでエラーが発生した状態がSNSなどにシェアされることがありますが、あのような状態は、運用している企業のセキュリティレベルが疑われ、企業の信用にも影響を及ぼすケースがあります。このような場合でもMDMを通じて遠隔で制御していれば、端末自体の再起動を指示することによって短い時間で復旧が可能です。
スマートフォンの画面固定方法
近年のAndroidやiPhoneでは、特定のアプリケーションの画面を最前面に固定する機能がOS側から提供されています。端末の操作だけで実現できる設定方法をご紹介します。
Androidの場合
起動中のアプリケーション画面を固定する機能を使用します。この機能を使用すると、ナビゲーションバー(ホームボタン、アプリケーション切り替えボタン)、ステータスバー(クイック設定、通知)、画面ロックの機能が無効になります。もともと誤動作や、第三者が勝手にアプリケーションを起動して操作するのを防ぐ目的で用意された機能です。
設定は、アプリを固定する機能を有効化したのち、実際にアプリを固定するという順番でおこないます。
アプリ固定設定の手順は、「設定アプリ」>「セキュリティ」または「セキュリティと現在地情報」>「詳細設定」と進み、「アプリ固定」から「アプリ固定」をオンにします。
次に、アプリ画面に固定する手順です。
設定をおこなったあと、固定するアプリを表示します。画面の中央まで上にスワイプして長押しし、□の概要アイコン>画像上部にあるアプリアイコン>ピンのマークの順でタップします。
Android 8.1以前のOSをご利用の場合は、画面固定方法が異なります。固定する画面を表示>□の概要アイコンをタップ>ピンのマークが画面右下に表示されるまで、上にスワイプ>表示されたピンのマークをタップします。
メーカーによって設定方法が変わるため、上記の方法で設定できなかった場合は、以下の方法をお試しください。
「設定アプリ」内で[固定]または[アプリ固定]と検索し、「アプリ固定」設定から、オンにします。
アプリ履歴を表示し、固定したいアプリのアイコンをタップし、「固定」を選択します(アプリ固定の設定詳細ページ内に固定方法が記載されている場合があります)。
解除には上にスワイプして長押しするか、戻るボタンとホームボタン(または履歴ボタン)の長押しをおこなったあと、画面ロック解除用パスコードを設定している場合にはパスコードの入力が必要です。
※当社では、Optimal Biz Gadgetというホームアプリを設定するサービスをオプション提供しています。
※当社の「Optimal Biz」では、Android端末向けにAndroid Enterprise 専用デバイスを利用して、より簡単に画面固定をおこなう方法を提供しています。
iOS/iPadOSの場合
「アクセスガイド」を設定することで固定が可能になります。「設定」>「アクセシビリティ」>「アクセスガイド」に進みます。次にアクセスガイドを「ON」に設定します。「パスコード設定」>「アクセスガイドのパスコードを設定」と進み、アクセスガイドを解除するためのパスコードとして数字6桁を設定し、ホーム画面に戻ります。続いて、画面に固定したいアプリケーションを起動し、ホームボタンまたはサイドボタンをトリプルクリックし、アクセスガイドを開きます。アクセスガイドでユーザーに触れられたくない場所を指でなぞって囲み、指定します。画面端の「開始」をタップするとアクセスを制限した状態でアプリケーションの表示に戻ります。
アクセス制限を解除するには、ホームボタンのトリプルクリックでアクセスガイドを開き、再設定します。
※当社の「Optimal Biz」では、iOS/iPadOS用の「シングルAppモード」機能を提供しており、起動できるアプリを1つに制限し、他のアプリやホーム画面への遷移の禁止する設定をより簡単におこなえます。
おわりに
キオスク端末はユーザビリティの向上のためだけでなく、有人サービスの置き換えによる人件費の圧縮と削減にもつながるため、私たちの生活にすでに浸透したシステムになっています。MDMと連携して運用することで多数のキオスク端末を一元管理し、セキュリティ対策をおこなうことも可能です。
また、MDMのメリットの一つに遠隔でメンテナンスが可能、という点が挙げられます。端末の状態を定期的に監視することが可能になり、遠方に設置されている端末のメンテナンスも容易になります。端末管理、操作に関する工数を削減し、他の業務に集中することができるため、可能な限りMDMを用いたメンテナンス体制を整えることをおすすめします。
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